ビジネス倫理勉強会 第1回勉強会メモ (2010.11.12)
ビジネス倫理勉強会 第1回勉強会メモ (2010.11.12)
*本稿に記載されている意見等は勉強会出席者によるもの、あるいは筆記者が記述したもので、必ずしも中谷常二個人の見解とは同じとは限りません。
(経営倫理学雑観)
- 経営倫理は、日本では経営学者があまり興味をもっていない領域
- 米国ではビジネススクールでエンロンはじめ、自社の儲けしか考えない人材を輩出してしまった反省を出発点として、倫理学者中心に経済優先の企業行動に対する歯止めの検討が始まった。
- Society for Business Ethics は、会員の多くが倫理学出身。…哲学だけでは食べていけないかったこともその理由。Social Issues in Management と双方向で活動。
- 日本では公害問題を契機に企業の社会責任論が盛り上がったが、公害問題の安定とともに下火に。
- 社会・経済に関するイデオロギーの位置付け
<自由主義系>
↑ リバタリアニズム(自由至上主義)
↑ リベラリズム
コミュニタリアリズム
——————————–
↓ 社会主義
↓ 共産主義
<共産主義系>
- ビジネス倫理と経済倫理の違い
ビジネス倫理は企業の振舞いのマイナーチェンジ。自由主義経済という社会・経済システムそのものの変革までは射程にしない。 - 本業の追求に非倫理性がつきまとう産業はどう考えるべきか
→ 自動車と環境問題、タバコと健康被害 etc.,
カルマを背負った事業の一員として真剣に考えて行動していることが大切
(倫理学の考え方 … 資料に基づいて解説)
- 対話を通しての知
ソクラテスの産婆術: 対話型にすると思考停止にならない
批判的思索(critical thinking)
devil’s advocateの徹底(批判する役割を人に帰属させてはいけない) - 倫理学の基本的な考え方
- 功利主義と義務論
- 社会契約論
- 正義論
- ケアの倫理
いずれも正しいと主張しており対立したまま
- 義務論
仮言命法と定言命法
哲学が哲学であるための条件=普遍性と論理性
真の道徳法は定言命法- 普遍化可能性の原則…何時の行動の格律が一般的律法の原則となりうるごとく行動せよ。真の道徳行為は道徳法則に対する尊敬の念を動機として義務からなされたものでないといけない。
- 人間性の原則…汝の人格や他のあらゆる人格のうちにある人間性を、常に同時に目的として取り扱い、決して単に手段としてのみ取り扱わないように行為せよ。他人を単なる手段としてのみ利用するような行為をしてはいけない。→ アメリカのステークホルダー理論の基礎にはこれがある。
- 日本ではこの基礎がないので、何故ステークホルダーを重視しないといけないかと改めて問われると分からなくなってしまう。
- 功利主義
- 功利主義を基礎におくと奴隷制を否定できない
- 多数派が幸福になるためであれば人を殺してよいと言った途端に殺すことが正当化されてしまう危険をはらむ
(今後の進め方)
★ テキストの候補
ソクラテス「ソクラテスの弁明・クリトン」 (講談社学術文庫) → 次回課題