研究について

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研究分野

 「ビジネス倫理」、「公務員倫理」、「公共政策の倫理」、「ソーシャルメディアの倫理」などについて研究を進めています。

ビジネス倫理とは何か

 ビジネスにかかわる倫理的な課題を検討する学問は企業の社会的責任論、経営倫理論、企業倫理論など様々な名前で呼ばれています。
 しかし本HPではビジネス倫理という言葉を用いています。その理由は、企業倫理や経営倫理という言葉との混同を避けるためです。

 企業倫理という言葉では企業が主体となっており、企業がどのような倫理的な振る舞いをするかを検討することになります。同様に経営倫理は企業倫理よりも広く用いることができ、全ての組織経営の倫理上の問題を検討するという使い方はできますが、経営者や管理者がその主体となっているため、経営側の
倫理的問題に終始しがちです。
 ビジネス倫理は英語のBusiness Ethicsの訳語として、Businessの部分を企業や経営といった言葉に訳さずにそのままビジネスと置き換えたものです。この言葉では企業倫理、経営倫理のいずれにも対応でき、かつこれらの用語には含まれにくい意味を持たせることができます。

 ビジネス倫理と考えると、企業の行う経済活動に参加するステイクホルダー全てを行為主体として議論の俎上に載せることも可能となります。たとえば、企業と消費者のトラブルを考えるなら、企業側の問題だけを論じるなら、企業倫理や経営倫理は妥当かもしれません。しかし、消費者に悪意があったり、相応の落ち度が消費者に会ったりする場合は、消費者側にも倫理が求められることになります。ビジネス倫理という言葉を用いることで、企業と消費者双方の倫理を要請することができます。

 企業の倫理的な問題を考えるということは、ステイクホルダーと企業とのかかわりについて論じるということになります。ステイクホルダーとは狭義から広義まで色々な定義がありますが、一般的な狭義の定義では企業の存続にかかわる組織や集団となります。具体的には、株主、従業員、地域共同体、取引先、顧客などです。
 ビジネス倫理という語を用いるなら、ビジネスにかかわるこれら株主、従業員、地域共同体、取引先、顧客などの責任や権利も、企業や経営者側と同様に論じることが可能になります。

 

 ではビジネス倫理では何を研究するのでしょうか。ひとつの定義としては、ビジネス全般に関わる問題を応用倫理学の視点から考察する学問といえます。倫理学とは哲学の一分野で、善悪について哲学的に考察する学問です。倫理学は哲学同様に長い歴史を持ちます。西洋哲学の始祖といわれるソクラテスは、2400年前から人間の徳について議論しています。倫理学には徳倫理や、功利主義、義務論など様々な説が論じられてきました。それらの学説を元に、近年の技術、経済、社会の問題を論じていこうとするのが応用倫理学となります。応用倫理学は文字通り倫理学を現実問題に応用する学問であり、生命倫理や環境倫理などがこれまでも多くの実績を残してきました。そして倫理学の視点から、ビジネスにまつわる様々な課題を検討することが、ビジネス倫理の研究範囲となります。

 ビジネス全般の問題ですから、その研究範囲はとても広いものとなります。株主の企業の所有者としての責任について、従業員の働き方について、工場と周辺地域との関係について、取引先への過剰な要求について、製造物の安全性について、過大広告の問題点について、内部告発についてなど、企業がステイクホルダーとかかわるところにビジネス倫理の課題ありとなります。

 最後にビジネス倫理と経済倫理との違いも明らかにしておきましょう。この違いは端的にいうと経営学と経済学の違いとなります。その研究領域が経済活動全般に及ぶマクロなものであるなら経済倫理であり、企業活動や商取引などビジネスに特化した問題を扱うならビジネス倫理となります。そのため、ビジネス倫理では自由主義経済、資本主義経済への根本的な批判はその問題の射程には入らず、それらは経済倫理が扱う課題となります。
 ビジネス倫理では資本主義経済を基本的には肯定的にとらえています。そして資本主義経済の中で企業をよりよくしていく手法や理論を論じる学問といえます。

主な著作物

論文・学会報告

著書、論文、学会発表、受託研究費などの研究業績はresearchmapに随時掲載します。

http://researchmap.jp/nakaya-be

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